left alone over junk

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ドナルド・ノーマン「グーグルのいわゆる「単純さ」の実態」

(Don Norman, “The truth about Google’s so-called ‘simplicity’”)

グーグルの実態? 単純ではないね.

いや,ぼくはグーグルを気に入ってる.すごい検索エンジンだ.でも,みんなが口をそろえて「グーグルってきれいにまとまってるよね」とほめるのにはうんざりしてる.おいおい,どんな検索エンジンだって,それなりに「きれいでまとまってる」じゃないか:検索語をボックスに打ち込んで,エンターをたたく,それだけだ.

「いやいやいや」と,みんなは前のめりに反論してくれる.「グーグルの検索ページは余白がたっぷりあって,きれいにまとまってる.余計なものが詰め込まれてないじゃないの」って.

たしかにね.でも,それは単に,グーグルのホームページでできることが1つしかないからだ:検索する,それだけだ.システムのやることが1つだけなら,誰だって単純な外見のインターフェイスなんてつくれる.グーグルでできる検索以外のことをやりたいときには,ありゃりゃ,まずはそのやり方をみつけなきゃいけない.その次は,いろいろ並んでいる機能のなかから,目当てのものを探し出さないといけない.それがすんだら,その使い方を調べないといけない.おまけに,こういう他の機能はホームページには載っていなくて,要領のつかめないあちこちの場所に隠れているから,ごく単純なタスクであっても,時間と手間が必要になる――どこにあったか思い出せるとしての話だけどね.

Yahoo! や MSN がああも見た目の込み入ったサイトなのは,どうしてだろう? なぜなら,あちらの方が使いやすいシステムになっているからだ.Yahoo! や MSN が複雑だからじゃなくて,ユーザーが求めるニュースとか検索の選択肢といったものをホームページでみつけやすくしてユーザーの生活を単純にしているからだ.Yahoo! には,すぐれた個人化ページもあるから,最初のページでおのぞみの項目を選べる.

グーグルのフロントページをちがう側面から注意深くながめてみよう.地図を使いたいときは? この選択肢が表示されるには1回クリックしないといけない.すると,今度は地図ページにたどりつくのにさらに時間がかかる.グーグル・スカラーを使って文献を調べたいときは? さて,どうだったっけな.「検索オプション」か「もっと見る」じゃなかったっけ.新しく公開された「ブログ検索」はどうだろう? どうしてグーグルマップはグーグルアースと別々のところにあるんだろう? (あ,別々の企業から買い取ったんだっけ.なるほどね.でも,どうしてユーザーであるぼくが,グーグルの買収歴を気にかけなきゃいけないの?)

こうした機能を使うには,「もっと見る」をクリックして選択肢のページを開き,32個もある項目を必ずみないといけない――選択肢のページには「グーグルについて」とか「ヘルプセンター」もある(もしグーグルがそんなに単純なら,どうして「ヘルプ」が必要になるの?).そして,「ダウンロード」に進み,「ウェブ検索機能」の特別セクションに行く.ここにはさらに24個もウェブ検索機能のリンクがある.それに加えて,ブック検索のツールバーもあるし,他に23ものテキストのセクションがある――リンクじゃなく,検索結果を向上させるために学べるテキストによる記述その他のメタ言語がある.

グーグルは「単純」だろうか? いいや.グーグルは嘘をついてる.メインページには1つの検索ボックスを表示しておくことで,複雑さをみんな隠している.主なちがいはこうだ――なにか他のことをしたい場合に,他の検索エンジンではホームページからできるようになっているのに対し,グーグルではメインページ以外のあれこれ複雑なページを探し回ることになる.なんでたくさんあるこういうページを1つにまとめてないんだろう? なんでグーグルは一体化したアプリケーションじゃないんだろう? どうしてみるからに孤立した奇妙なサービスがこうもたくさんあるんだろう? 

昔々のこと,正確に言うと1968年のことだけど,コンウェイっていう賢人がこう書いている:《システムを設計する組織(…)は,当の組織のコミュニケーション構造をコピーした設計を製品として生み出すよう制約されている.》 そのとおり.無数の企業でそうした製品にお目にかかる.例外はグーグルだ.ここでは,どうやら製品に組織の構造がまったくないみたい.ふーむ.

Conway, M. E. (1968). How do committees invent? Datamation, 14 (April), 28-31.

(いつの文書か明示されていないみたいだけど,かなり昔のエッセイだと思われる)

Posted on Tuesday, September 6 2011.
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